超絶実用的なロシアのスマホ。なのに、日本など眼中にない仕様で、電波の拾いが辛すぎる。だが…ごにょごにょすれば山間部でも生き残れるんだぜ!! …って、それ、ちゃんと対応エリア広がってる? まさか気のせいじゃ…
ごにょごにょってなんだよ! |
どこがどう変わるのか |
本当に使えてるのか |
後に続く戦士へ |
ごにょごにょってなんだよ!
元々日本の携帯電話基地局から出ている電波に合わない YotaPhone 2。こいつの内部ソフトウェアを改変したり、簡単には触れない設定を変更することで、できる限り日本の電波を受けられるように改造することさ。
改造といっても分解したりするわけではなく、眠っている機能を覚醒させるといったところだな。ただ、この覚醒させる手法には、割とリスクが少ないものから、ミスると即文鎮化 (起動不能) になるハイリスクなものもある。
どこがどう変わるのか
以下の表を見てくれ。
まず左側の赤字で示した列、日本で重要な LTE Band 1 に対応している中国市場向けモデルの YD206 を入手する。国際版の YD201 はハードウェア自体が LTE B1 に対応していないので、どうにもならない。
YD206 なら 3G Band 1、LTE Band 1, 3 を受けられるので、山間部でなければ戦える。しかし、別の問題がある。
中国は情報統制が厳しい国なので、Google Play が自由に使えなかったり、OS のアップデートができない仕様になっている。今となっては三世代も古い Android 4.4.3 (KitKat) を使うしかない。
そこで、ロシア版などの中国向け以外の最新ファームウェアを中国モデル YD206 に書き込んでみる。すると自由を手に入れられる代わりに、肝心な LTE B1 バンドが使えなくなってしまい、国際モデルの YD201 と同等になってしまう。(YD201 用と YD206 用のラジオファームで受けられる電波の違いは、姉妹記事の 【YotaPhone2】国際版 YD201 と中国版 YD206 ラジオファームの違い検証 を見てくれ。)
そこで先人が編み出した技、国際版と中国版のファームウェアをちゃんぽんして、LTE B1 バンドが使える国際版カスタムファームウェアを作り、書き込む。ここまではリスクがさほど高くない。
Y!mobile など、ソフトバンク系の SIM カードを使う場合は、プラチナバンドの 3G Band 8 が標準で対応しているので、作業はここまでで終了だ。ワイモバ戦士は楽でいいな。
さて、ドコモ系戦士はどうするか。ハードウェア的には対応しているものの封印されていて使えない 3G Band 6 を覚醒させる。これで 3G のプラスエリアに対応することができる…のだが、その道のりは少し険しい。後半で改めて触れよう。
本当に使えてるのか
困難を乗り越え、システム上は日本で必須のバンドに対応したノフ。これでロシアスマホは日本で戦えるワ!! …本当でスカヤ?
ってことで、検証しようかね。
800/900MHz 帯 (ドコモプラスバンドやソフバンプラチナバンド) を受けられるのかお手軽に確認する手法として、電子レンジにぶち込むというものがある。電子レンジは食品の水分子を振動させて温めるのに 2GHz 帯の超強力な電磁波を発生させるため、これをできる限り筐体外に漏れ出さないように遮蔽する設計がされている。逆手に取れば、電子レンジの中では外からの 2GHz 帯の電波が遮断される格好になるので、800/900MHz 帯に対応できていなければ圏外になるって寸法さ。
つい魔が差してチンしちゃダメだぜ!!
…で、記者も試しにやってみたのだが。遮蔽板 (扉のガラスの向こうにある目の細かい網) 越しでは、スマホの小さいピクト表示なんて全然見えんのよ…。はい、やめやめ!!
まあ、今回プラスエリア以外のバンドもきっちり受けられているのか併せて検証するために、root 化した状態で Network Signal Guru というアプリを利用することにした。OS は KitKat だ。Lollipop や Marshmallow の場合は、diag モードに切り替えてから実行する。(デバッグモード ON 後、adb shell から su → setprop sys.usb.config diag,adb)
ごにょった YotaPhone2 と併せて、昔のスマホだがドコモの正規販売品である記者のギャラクチョン (docomo SC-06D) での計測も行ったぞ。
まず、LTE Band 1。ドコモでもソフバンでも対応必須の日本全国広域で使われている 2.1GHz バンドだ。
LTE Band 1 (2.1GHz) / docomo, SoftBank | |
YotaPhone2 | SC-06D |
次、LTE Band 3。ドコモでは主に東名阪で使われている 1.8GHz バンドだ。ソフバンでも 1.7GHz で使われている。このバンドは必須ではないが、拾えるに越したことはない。記者宅は東名阪いずれからも 100Km 以上離れたド田舎だが、Band 3 の電波も飛んでいた。SC-06D が登場した時代にはドコモになかったバンドのようで、対応していなかった。
LTE Band 3 (1.8GHz) / docomo, SoftBank | |
YotaPhone2 | SC-06D |
TD-LTE Band 41。珍しい TDD (時分割多重方式) LTE のバンドで、中国移動 (China Mobile) が 2.5GHz 帯で採用している。日本ではソフトバンクが呼ぶ “4G” と “4G LTE” の内、”4G” のほうに該当する。ソフバンのは AXGP と呼ばれるが、AXGP は TD-LTE と互換性があるのでいけるんじゃねえか?
下の図では LTE Logging (Limited service) と表示されている。ドコモ系 SIM で検証を行っているからだ。図では 2,565MHz を掴んでおり、これはソフバン割り当ての周波数だとは思うのだが、ソフバンなのか UQ (WiMax 2+) なのか確信が持てない。
LTE Band 41 (2.5GHz) / SoftBank, UQ | |
YotaPhone2 | SC-06D |
WCDMA Band 1。ドコモ、ソフバン共に対応必須の 3G 2.1GHz バンド。まだまだ 3G は健在で、通話は 3G 電波が拾えないとできない。ごく一部で LTE でも通話できるようになってきてはいるが、一般的とは言えない。
WCDMA Band 1 (2.1GHz) / docomo, SoftBank | |
YotaPhone2 | SC-06D |
WCDMA Band 2。日本では 1.9GHz 帯は PHS が使用しており、3G 携帯電話電波としては使用できない。
WCDMA Band 2 (1.9GHz) | |
YotaPhone2 | SC-06D |
WCDMA Band 6。ドコモで対応必須の 3G 800MHz 帯。いわゆるプラスエリア。このバンドが拾えないと、山間部での利用は厳しいのだが、海外の携帯電話がこのバンドをサポートすることはまずないといっていいマイナーなバンド。尚、下の図では Band 5 も選択されているが、Band 5 は 6 を内包するとかなんとかで、両方有効にしないと Band 6 は使えない。なんでそんなことになるのか詳しいことは知らん。
WCDMA Band 6 (800MHz) / docomo | |
YotaPhone2 | SC-06D |
最後は WCDMA Band 8。ソフバンで対応必須の 3G 900MHz 帯。いわゆるプラチナバンド。下の二枚目の図では WCDMA Logging (Limited service) と表示されている。ドコモ系 SIM で検証を行っているからだ。ソフバン系 SIM であれば Logging (Available) になるだろう。
WCDMA Band 8 (900MHz) / SoftBank | |
YotaPhone2 | SC-06D |
後に続く戦士へ
ごにょった YotaPhone 2 は日本でも十分戦えることがお分かりいただけただろう。リスクを冒してごにょった甲斐があったというものだ。
ごにょる手順の詳細は…ぐぐってくれw 偉大な先人の跡を辿れ!!
ひどい、そりゃあひでぇぜ。あんまりだぜ、おいしょまん!!
…よし、ではせめて… ごにょる作業概略と、ごにょる上で YotaPhone2 特有の注意すべき点を記しておくぜ!
まず概略。
YotaDevices 社公式のファームウェア書き換えツール、Yota Flasher をインストールして起動 → 中国版ファームウェアをダウンロード → Yota Flasher インストールフォルダ\firmware\radio フォルダをどこかへ隔離 → ロシア版ファームウェアをダウンロード → radio フォルダを削除し、隔離しておいた中国版 radio に置き換える → こうしてちゃんぽんしたファームを YotaPhone2 に焼きこむ
ワイモバ戦士 (ソフトバンク系) はこれだけで OK だ。ただ、ちゃんぽんを焼くときにそのままだと失敗するので、一応この記事を最後まで読んでくれ。
また、ファームウェアのダウンロードは数時間かかる。途中でコケると泣きたくなるので、YotaPhone Flasher を使わずに FTP でダウンロード (ftp://5.200.42.210/YotaPhone2/Firmwares/) したほうがいいかもしれない。その場合は、手動ダウンロードした zip ファイルを YotaPhone Flasher インストールフォルダの firmware フォルダ内に展開すれば OK。
で、ドコモ系戦士は更に試練を受けろ。
Windows 10 に Android SDK をインストール → ブートローダーアンロック → Windows から YotaPhone2 用のカスタムリカバリ― TWRP を送り込んで起動 (この時点ではまだ焼きこまない) → cache 領域を除く全領域をバックアップ → 出来たバックアップ (TWRP\BACKUPS) を Windows へ吸い上げてとっておく → リカバリ―メニューからブートローダーを再起動する。この際、Super SU をインストールするか聞かれるのでインストールし、root 化する → Windows から TWRP をブートローダーに焼く (必須ではない) → Windows をテストモードに切り替え → HTC スマホ用の診断モード用デバイスドライバを改竄 → デバッグモードにした YotaPhone2 を接続し、Windows から Diag モードに切り替える → 改竄ドライバを当てる → Windows 10 を通常モードに戻す → DFS CDMA Tool をインストールし、起動 → WCDMA Band VI の封印を解き放つ
…結構メンドクサイ…Band 6 覚醒の作業では文鎮化するリスクが割とあるので慎重に丁寧に。
次、YotaPhone2 特有の注意点だ。じじいのお告げをよく聞くのだ。
*「ちゃんぽんファームを作る時のベースはロシア版をおすすめじゃ」
各地域版公式ファームウェアのうち、この記事を書いている時点でバージョンが最新なのはロシア版と欧州版だが、YotaPhone2 は日本のスマホのようにいらんゴミアプリがてんこ盛りになっておらず、ロシア版ファームを入れてもロシア語オンリーの謎アプリは一つしかないので、OS アップデートが最初に配信されるであろうロシア版をちゃんぽんベースにすることをお勧めする。
ロシア版ファームと中国版ファームのラジオ部 (無線制御部) のみをちゃんぽんしたファームを初回焼くときに書き込みに失敗することから、香港ファームとのちゃんぽんがいいとの情報がある。だが、失敗は下の図のようにして回避できるので、バージョンの古い香港版でなく、ロシア版にしよう。
尚、書き込みに失敗した場合は、自動再起動後 Android ロゴから進まず冷や汗が出るが、文鎮化はしないので安心してくれ。電源ボタンを十数秒押し続けると電源が落ちるので、改めて音量下ボタン+電源ボタン長押しでダウンロードモードに入って焼き直せば OK だ。
じゃ、次のお告げ!!
*「WCDMA Band VI を有効にした後は、必ず USB ケーブルを抜いてからスマホを一旦シャットダウンするのじゃ」
ドコモプラスエリアを有効にするには、DFS CDMA Tool というソフトで RF BC Config と Band Preferred の設定をいじって WCDMA Band VI を覚醒させるのだが、値の書き込みが完了し、ポートを切断したら、必ず USB ケーブルを抜くこと。そして、抜いてから YotaPhone2 をシャットダウンする。必ずケーブルを抜いて電源を切る。再起動じゃダメだ。
YotaPhone2 は USB ケーブルが繋がっていると、シャットダウンしても電源が切れず再起動される仕様だ。電源が落とされずに再起動されると、Band Preferred の設定値が変更前に戻されてしまい、プラスエリアが覚醒できないのだ。
はい、最後のお告げ!!
*「LTE のプラスエリア (ソフバンの LTE プラチナバンドも) には対応できんのじゃ」
ごにょって対応できるプラスエリアは 3G だけだ。ハードウェア的にはもしかしたらいけるのかもしれないが、残念ながら LTE の対応バンドを増やすのは上の図の 3G のように簡単に ON/OFF とはいかず、メーカーしかわからないパラメータを書き込む必要があるのだね。
元々記者のボロボロギャラクチョンは LTE のプラスエリア非対応だったことから、個人的には使い勝手は変わらず困らんのだが、LTE プラスエリアに期待している人は、残念でした。
*「では、ゆけ! へんたいの せんし たちよ!」
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