ものぐさブラインシュリンプの湧かせ方


ブラインシュリンプってのは、生き餌にしてはかなり楽なほうだけど、それでも孵化させるのめんどくせえ。しかし、調子が悪い魚でもブラインなら食って回復してくれることもある。よし、面倒ながら極力楽に維持する手段を探していくぜ。

ブラインシュリンプってなんぞ
ブラインの欠点とものぐさ対応
用意するもの
事前の準備
孵化させてみよう
片づけと次の日の準備をしよう
ブラインシュリンプってなんぞ

あまり聞きなれない名前だが、シーモンキーという名前なら聞いたことがあるかもしれない。ガチャにも入っていたりするらしいぞ。正体はプランクトンなんだが、流石生き餌、魚が喜んで食べてくれる。元気がなくて乾燥餌を食べてくれない奴にも食わせてみる価値があるぜ。

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Wikipedia によると、正しくは 「アルテミア」という生き物なんだと。肉眼には、尖った点が動いているようにしか見えないけどな。動きはなかなかデジタルチックでおもしろい。

ブラインの欠点とものぐさ対応

まず、孵化させるのに海水が要るんだ。そして、光に晒す必要があり、気温にもよるが孵化するまで 24 時間くらいかかる。生き餌としてはめちゃくちゃ楽な奴なのだが、ものぐさ野郎にはやっぱりめんどくさい。

淡水で孵化する奴があれば非常にありがたいのだが、残念ながらこいつの淡水版に該当する、田んぼに居るホウネンエビという奴らは、商業ベースに乗せられるほど簡単なものではないようだ。

さて、方向性を考える。

一つ目、海水の調達。うまくやれば食塩水でもいけるようだが、孵化率がイマイチだとか。ここは素直に海水の素を使うことにする。

二つ目、培地。ブラインを孵化させるためには数時間の光の刺激が必要…とくれば、水槽の照明下に置くのが手っ取り早いな。

三つ目、温度。孵化するまでの時間は積算温度と関係がある。夏場は何も考えなくてもいいが、真冬は 24 時間以上かかることも結構ある。培地を水槽に置いて保温しておけば、そこらに晒しとくよりはマシかと。

まず、ブラインを孵化させる方法だが、ペットボトルにブクブクを入れて回す方法と、ただお皿に薄く水を張って卵を撒く方法がある。今回は水槽照明を使うってことで、培地を水槽の上に乗せられる皿式にした。

海水の素は、規定分量を計って水に溶かすだけとはいえ、記者は秤を出して軽量してという工程が大嫌いだ。この面倒を減らす案としては、大量の海水を作り溜めして取っておくか、海水の消費量を減らすくらいだな。

記者は後者を選んだ。こんな感じの海水ちゅーちゅーを作った。毎日消費した分だけちゅーちゅーする。あとは、如何にして海水の消費量を減らすかだ。

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用意するもの
  • ブラインシュリンプの卵

定番中の定番、テトラのブラインシュリンプ。

  • 海水の素

記者はコレを買った。一袋で 25L の海水を作れる。

袋は 23cm×14cm くらいで、餌箱に一緒に入れておける手軽な大きさだ。袋の角を少し切って取り出し口とし、塩が湿気てしまわないように、使いおわったらすぐ空気を追い出して、テープで口を塞いでしまうといいぜ。

  • 500ml ペットボトル

うんまあ、とりあえずジュースでも飲んでくれ。

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記者が使ったのはファンタのもので、腰がくびれている。海水ちゅーちゅーを作るだけなら形状は何でもいいが、後々水草育成用に発酵式や化学式の CO2 発生装置を作る気があるのなら、CC レモンのような炭酸飲料用の耐圧ボトル、且つ、くびれのないずん胴スタイルのものを複数本キープしておこう。

  • エアチューブのジョイント

ちょうど手元に余りがあったので使っただけで、パイプでも何でもいい。上のペットボトルのキャップに取り付けられている。

  • 胡椒入れ

ダイソーで入手

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  • 水槽の上に乗る、透明で浅いトレイ

ダイソーで入手。ブクブクなしで空気中の酸素を取り込むために、ある程度の表面積があるものが良い。

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  • お茶フィルター

ダイソーで入手。耳がついていて湯呑に嵌められるタイプ。10 枚入り。

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  • スポイト

ダイソーで4~5本のセットを入手。確か文房具コーナーの墨汁の辺にあったと思う。

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  • カラーボード 5mm 厚

ダイソーで入手。別に光を通さなくて加工が簡単にできるものならなんでもいい。別記事の、初心者のものぐさアクアリウムはじめ で、水槽の保温と遮光に使った残りがあったので使っただけだ。

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  • 漏斗

ダイソーで入手。怪しい粉末を調合する時の必需品。水草育成用の CO2 発生装置を作る際にも活躍。

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  • 計量カップ 250ml

ダイソーで入手。何かと便利。

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グラム単位で計れればなんでもいいよ。記者は昔バッタ市で入手したクッキングスケールを使っているが…イマイチ、いやイマニ、イマサンだ。

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ゼロから少しずつ載せてもちゃんと反応してくれる秤がホスィ…。これ買おうか検討中。

…と、こんなところだ。なんか、ダイソーアイテムばかりだが、記者は回し者ではないぞ。

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事前の準備

海水ちゅーちゅーを作ろう。ペットボトルのキャップにキリなりドリルなりで穴をあけて、エアチューブジョイントを差し込み、接着剤で止めて注ぎ口を作る。これだけ。実はこのキャップ、以前発酵式 CO2 発生装置を作った時のただの余りだったりする。

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次に、孵化トレイの遮光板を作ろう。5mm 厚のカラーボード…でなくても何でもよいのだが、適当に切り貼りしてトレイを上からすっぽり覆えるカバーを作る。この時、一カ所の角に小さな窓を作って外から光が入る様にしておく。

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ブラインシュリンプの卵は、二週間分くらいを胡椒入れに取り分けて、残りはきっちりと封をして冷蔵庫にしまっておく。常温に長期間放置すると孵化率がガタ落ちするので気を付けてくれ。最初は袋の四分の一くらいを胡椒入れに移してみて、どれくらいの期間で使い切るか探るのがいいだろう。

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さて、海水も作っておこう。ちゅーちゅーボトルに漏斗を嵌めて 18g の海水の素を入れ、上から水を 500ml 注いで、よく振って溶かす。これだけなのだが、記者はこの工程が大嫌いだ。

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孵化させてみよう

海水をトレイに張る。トレイの底の全域が満遍なく覆われるくらい、水深にして 3mm もあれば十分だろう。深いとブラインが酸欠で死ぬ。今回の皿式孵化以外の方法でブクブクが必要なのはそのためだ。

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張った海水にパラパラと胡椒…いや、ブラインの卵を振る。まずは適当に振ってみてくれ。多すぎたり少なすぎたりしたら二回目から調整すればいい。

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トレイを水槽照明の下に設置する。光は最低でも二時間は当てたほうがいい。

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そのまま今日はさようならだ。記者は照明消灯後は手製のダイソーカラーボードフードを被せて遮光と保温をしている。

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次の日。24 時間程度経って孵化していれば、オレンジ色の極々小さい生き物がチカチカと動いているのが見えるはず。真冬だと 24 時間では孵化しないかもしれない。その場合は次の日まで見送ってくれ。流石に 48 時間経っても孵化しないようだと失敗だ。塩水の濃度に問題があるか、卵がダメかだ。

さて、無事孵化していたら、このオレンジの奴らを集めよう。

そのままではこいつらを集めるのは無理だ。作成した遮光板をトレイに被せてくれ。部屋の明かりがついていればそのままでもそのうち遮光板の窓の部分にブラインが集まってくる。急ぐのであれば、スマホのライトでもなんでも窓に光を入れてやるとすぐに集まってくる。ブラインは正の走光性がある。光に集まる習性があるのだ。

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ブラインを光に集めている間に、計量カップに水を入れて、お茶フィルターをセットしよう。これは、塩水を濯ぐ装置だ。

ブラインがぐっちゃり集まったところを、スポイトで吸い上げる。この時、塩水の深さの真ん中あたりから吸い上げるとよい。というのも、孵化した卵の殻や、孵らなかった卵は浮くか沈むかのどちらかなので、中層から吸い出せばそれら不要物の吸い出しを最小限にできるというわけだ。

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吸い出したブラインをお茶フィルターに移す。そして、計量カップの隙間から真水を吸い出し、何回かブラインにかけて塩水を濯ぐ。まあ、塩水と言っても極々少量なので、面倒ならこの工程をパスして、水槽にそのままぶち込んでも大丈夫だろう。

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ブラインを濯いだら、再度スポイトで吸い出して餌とする。ブラインを濯いでいる間に、トレイ遮光板の窓にまたブラインが集まってきているはずなので、それを吸い出して濯ぎ、与える。

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これを繰り返す。あまりブラインが集まってこなくなったらおしまい。真冬など、振りかけた卵の量に対してどうも孵化したのが少ないなと感じた時は、トレイを片づけてしまわずに、減った塩水をちゅーちゅーから足して、そのまま照明下に戻して次の日に送り、孵化していない奴らが孵化することを期待しよう。

尚、水槽に入れたブラインは淡水では生きられないので、運よく食べられなかった奴らも数時間の内に死滅してしまう。あげる速度や量は何回かやれば身につくだろう。

片づけと次の日の準備をしよう

塩水を頻繁に作るのが億劫でなかったり、大量に塩水ストックを作った人は、片づける際に廃液をそのまま捨ててしまってもいいだろう。記者は作るのがめんどくさいので、トレイの廃液を一旦計量カップに移してトレイをざっと洗った後、お茶フィルターを通してトレイに濾し戻す。減った分だけちゅーちゅーから継ぎ足し、また卵を振りかけて照明下に戻している。

この塩水再利用技では、トレイの大きさに関わらず毎日スポイトで吸い取った分+αしか消費しないので、500ml のちゅーちゅーが一週間~半月くらいもつ。勿論、塩水もブラインの排泄物などで汚れていくのだろうが、ちゅーちゅーを一本使うくらいの期間使いまわしても孵化率の低下は特に感じない。流石に一本使い切ったら、廃液は全部捨てて新鮮なものにかえている。

お茶フィルターも、耳とフィルターの接合部が破れて漏れるようになるまで、乾かして何度も使い回している。

如何だろうか。まあ、楽をしようとしても生き餌はやっぱりちょっとめんどくさいね。

では、快適なアクアリウムライフを!


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