凶悪電撃ラケットの制作


日本の電撃ラケットは弱すぎる

蚊取りラケットとか殺虫ラケット、ハエたたきラケットとも呼ばれるアレ。夏になるとホームセンターやスーパーで売っているアレ。高電圧で網にかかった蚊や蝿を殺すものだが、日本で売られているものは安全の為かとても威力が弱く、標的を捕えたのか逃したのかすらわからなかったり、捕えても致命傷を与えられずに逃げられてしまったりする始末。

ピコーン!! そうだ、改造して凶悪な威力にしよう!!

おことわり

威力を上げるということは、誤って人間が金網に触れてしまった時の威力も上がる。又、このやり方で威力を上げると取扱いに問題がいくつか発生する(後述)。よく読んで自己責任でな。本気で危ないからな。

電撃ラケットの動作原理

電撃ラケットの基本的な構造はどれも同じで、製品により出力電圧や波形が異なるだけ。ラケットの動作時には以下のようなことが起きている。

1. 乾電池の直流から交流もどき電流を作る
2. 交流もどき電流を変圧トランスで数百ボルトに昇圧する
3. それを更に倍圧回路で数千ボルトに昇圧しつつ、直流もどき電流にする
4. できた高圧直流もどきを網に印加しつつ、コンデンサーに電荷を溜める
5. 網に敵がかかると溜めた電荷が一気に流れて仕留める
6. 4 に戻る

威力を上げる簡単な方法

回路に手を入れるのはそれなりに厄介なんだよね。それに数百円のラケットにあまりお金をかけたくない。で、最も簡単な方法は、網に流す電荷を溜めている最終段のコンデンサーの容量を増やすことだ。そうすれば敵に大電流を流すことができる。敵の生死を決めるのは主に電流の大きさだが、電圧が高いとスパークしやすく、小さな敵が網の目をすり抜けにくくなるので捕えやすい。本記事での改造は電流を増やすものであり、電圧は元々のラケットの仕様のまま変わらない。

簡単な方法には副作用もある

1. チャージ時間が伸びる

電荷を溜める容量を増やしても、電荷を供給する回路の能力は変わっていない。つまり、通電ボタンを押してから最大威力まで電荷が溜まるのに時間がかかる。とはいえ、余程の名手でない限り敵を捕らえるまで数秒かかるだろうから、問題にはならないだろう。ただ、改造品は回路にかかる負荷が大きくなるので、長時間連続してボタンを押し続けないほうがいいかもしれない。

2. 使用後のディスチャージ時間が伸びる

敵を捕らえられずにラケットがチャージされたままでも無改造品は通電ボタンを離せば数秒内に網に触っても安全なレベルになるようになっているが、改造品は溜まっている電荷が多い分、十数秒は危険だ。これの対処は抵抗一本替えるだけで簡単なのだが、代わりにチャージ時間が更に伸びてしまうので、俺はやっていない。

3. ラケットの寿命が短くなる…と思う

容量の大きいコンデンサーで耐圧電圧の高いものはなかなか手に入らない。元々長時間通電しないことを前提に未改造品ですら定格オーバーの電圧がコンデンサーにかかっている製品も多いのだが、容量を増やす場合は更に耐圧の低いものを使わざるを得ない。心配なら出力電圧が 1,500V 程度のラケットを選ぼう。パッケージの台紙の裏に書いてあるだろう、多分。

 さあ改造しようか

ここまで読んで、危険性と問題点はよく理解してくれたと思う。では制作してみよう。何が起ころうが責任は持てないので自己責任でな。

材料

電撃ラケットカインズホームのラケット ¥398 が値段、作り、電圧共におすすめ。後述の定格耐圧二倍超のオーバードライブが嫌な場合は 1,500V 程度の出力のラケットを選ぶ
コンデンサー容量が大きく、耐圧が高く、なおかつラケットに収まりそうなもの。本記事では若松通商で買った耐圧 630V、容量 3.3μF のフィルムコンデンサー 2個 (¥330 × 2個、商品番号 21270096…多分) を直列で使用
工具ドライバー、半田ごてと半田、半田吸い取り線、ホットボンド、テスター

※上記表の価格とカインズ電撃ラケットの回路仕様は2013年当時のもの

まずは開けてみる

ラケットの内部はこのようになっている。交換するべきは、網に一番近い位置についている最も大きい最終コンデンサーだ。このラケットでは基盤を裏返すと見える。

DNGK01

まずは既存のコンデンサーを外す。223J 3KV の刻印が見える。これは容量が22×103 pF = 22,000pf = 0.022μF で、耐圧電圧は 3,000V ということだ。カインズラケットは確か 2,500V だったと思うので、コンデンサーの定格耐圧内に収まる回路設計だ。素晴らしい。

DNGK02

さて、これが調達してきた大容量のフィルムコンデンサーを加工したもの。630V 335J の刻印が見える。容量が 33×105pF = 3,300,000pF = 3.3μF で、なんと元々ついていたものの 150倍の容量だ。しかし耐圧が 630V しかない。いくらフィルムコンデンサーが頑丈で、短時間ならは定格オーバーできる部品とはいえ、2,500V に対して四分の一の耐圧ではまずすぎるので、同じものを二個直列につないで耐圧を稼ぎ、1,260V としている。それでも改造前の半分以下の耐圧だが…。又、直列することにより容量は半分の 1.65μF になる。減ってしまったとはいえ改造前の75倍だ。尚、高電圧がかかるので線と線の間は出来るだけ離し、ホットボンドなどで物理的に近づかないように固定すること。距離が近いと空気の絶縁を破ってスパークしてしまい危険だ。

DNGK03

とりつけた。で、でかい…。

DNGK04

元通りに納め、外した部品やリード線も元通りにして完成だ。コンデンサーを交換した部分の両端にテスターを当て、ショートしていないか確認しておくこと。

DNGK05

 

DNGK06

威力の程は…

蝿に食らわせた音を録音してみた。ボイスレコーダーの音質設定を変えずに録音してしまったので高音がなくなってしまいスパーク音に聞こえなくなってしまったが、威力の差は感じられると思う。

通常の炸裂音

当たり所が良かった時だけバチッという音がする。電撃自体での殺虫には期待せず、網に引っ掛かったらそのまま通電させてじりじりと焼き殺すか、ラケットから振り落として捻り潰すのが正解な使用法。

改造品の炸裂音

最大威力で命中させた音。カインズラケットを改造した場合だと、通電中 LED の明るさでチャージ具合を確認できて便利だ。本記事のコンデンサー容量だと、フルチャージまで5秒~10秒程度かかる。

おまけで、海外で売られている充電式電撃ラケットの炸裂音

改造しなくても強いぜ!! 世界中の電圧に対応している充電式ラケット。なんとヤモリに対応と謳われている。威力は問題ないが、作りがチャチくてプラスティックがすぐ割れるのが残念なシロモノ。

チャージ時間を短縮するには (危険注意!!)

簡単だ。コンデンサーと並行についているブリーダー抵抗 (カインズラケットでは 22MΩ) を取ってしまうか、より抵抗値の高いものに交換すればよい。これは、通電ボタンが離された際に速やかに溜まった電荷を消費して網に触れても安全な状態に戻すための機構だが、仕組上、通電ボタンを押している間も電気を脇から逃がしてしまいチャージが遅れる。この抵抗を外してしまうとチャージ時間は短縮されるが、通電ボタンを離してもコンデンサーに溜まった電荷が網にかかったままになり、恐らく最低十数分は危険な状態が続くだろう。まあ、改造後の耐圧が足りないコンデンサーに長時間負荷がかかることになり、壊れるのが更に早まるからお勧めしないぜ。逆にこの抵抗をより抵抗値の低いものに交換すれば、通電ボタンを離した後の安全性は上がるが、チャージに必要な時間が伸びる。

一番手前に見える抵抗がブリーダー抵抗だ。

DNGK02

コンデンサに優しくするには (2015/8/30 追加)

記事中、コンデンサを二つ直列につないで耐圧を二倍に増している。ここに 2,500V が印加されると理論上はそれぞれのコンデンサには半分の 1,250V がかかる。しかし実際は必ず製品誤差などにより等分にはならず一方により高い電圧、他方には低い電圧がかかり、それにより劣化の進行も異なってくる。これが気持ち悪い場合は、ブリーダー抵抗を撤去し、代わりに直列しているコンデンサのそれぞれに対して並列に 10MΩ近辺の抵抗を噛ませてやると幾分気分が良いかもしれない。この二つの抵抗は撤去したブリーダー抵抗の代わりになると共に、直列されたコンデンサ間の電位を安定させる役割を持つ。


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