200V で使える安いワットチェッカ―を使ってみた


ワットチェッカーとかワットモニターとか、はたまたパワーメーターなど色々な名前で呼ばれる機器。コンセントに刺して測りたい機器を繋ぐだけで消費電力などを視覚化できて節電意識が高まるよね。でも日本では 100V 家電が主流なので、200V 系統を計測できる家庭用ワットチェッカーはない。そこで、海外通販で安価なワットチェッカーを取り寄せて家電を計測してみたぞ。

200V 対応のワットチェッカーは高い

日本では 200V 家電は IH コンロや大型エアコンなどの大電力を食う据付大型機器に限られる。故に 100V 用のワットチェッカーは 1,000 円台からあるのに、200V に対応するものは業務用に限られている。とても高い。安くても 10,000 円以上。高級機は 200,000 円超だ。

安価にワットチェッカーを入手する

海外では家庭用電源の電圧が 220V 以上の地域が多い。ということで、Ali Express という海外通販で BENETECH というメーカーの 16アンペアまで計測可能な GM89 というモデルの内、入力がアメリカプラグ形状、出力がユニバーサル形状のワットチェッカーを購入してみた。定格 220V のワットチェッカーだが 180V~270V の範囲で使えるらしい(この情報元は失念)。

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警告:

Ali Express は中国のアリババが運営する中国国外向けの通販サイト。店舗数品数は非常に豊富で日本では手に入らないものもたくさんある。しかし、注文と違うものや不良品が届いたり、届くまで数ヵ月かかることもあったり、最悪商品が届かないこともある。紛争の仕組みもあるが、やりとりは全て英語で行う必要がある上、相手は中国人なので一筋縄には行かない。基本的に何もかもが中華品質なので、転んでも泣かない人以外は利用しない方がよいだろう。Ali Express の利用法など、記者はサポートしない。トラブっても知らん。完全に自己責任の世界だ。

AliExpress で “GM89” を検索してみる

…もし買うときは、写真をよーく見て、背面のコンセントプラグが A タイプ (平刃) の商品を探して買ってくれ。出品されている GM89 の多くがピンタイプだから。

何を測れるのか

この GM89 というワットチェッカーでは以下の項目を計測できる。これは問題ないだろう。ボタン切り替えでそれぞれの項目のリアルタイム値を表示する仕様だ。値は一秒おきに更新される。最大値/最小値を記録する機能はない。複数の項目を同時表示することもできないが、そもそも送料コミコミ 19 ドルの商品にそこまで期待していないので問題ない。尚、当たり前だが電気料金を知りたい場合は積算消費電力量から自分で計算する必要がある。

計測できる項目パネル表示精度
消費電力 (W)WATT小数点第二位
電流 (A 又は mA)CUR小数点第三位(A), 整数 (mA)
電圧 (V)VOLT小数点第二位
周波数 (Hz)FREQ小数点第二位
積算時間CT
積算消費電力量 (kw/h)EC小数点第二位
CO2 排出量 (Kg)CO2小数点第二位
力率PF小数点第三位
今回計測してみた家電

今回ワットチェッカーで計測してみたのは、これも Ali Express で中国から買った豆漿機という家電。中国国内向け 220V 仕様の家電だ。(この豆漿機については、別記事の海外の家電を日本で使ってみたで紹介している)

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このワットチェッカーの仕様は、コンセントに刺す側がアメリカ仕様、つまり A タイプのアース付きだ。日本のアース端子付き 100V コンセントには刺さるが、200V コンセントには刺さらないのでコードを自作するなどして変換する必要がある。今回はとりあえず手持ちの部品で形状を変換した。家電側はユニバーサル形状になっていて、世界各国の多くのプラグがそのまま刺さるようになっている。しかしこちらも日本の 100V なら刺さるが、日本独自規格形状の 200V プラグは刺さらない。今回は計測対象が中国家電で附属コードが O タイププラグなのでそのまま刺さるが。

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実際に測ってみた

200V コンセントに繋いで通電してみる。ワットチェッカーが起動し、パネルが点灯した。ボタンを押して表示項目を切り替えると、計測時点での我が家は電圧 199.88V、周波数 50.04Hz ということがわかる。とりあえず、使えないという最悪の事態は回避されて一安心。

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豆漿機をワットチェッカーに繋いで計測してみる。豆漿機というのはスープメーカーの一種なので、機能は主に加熱と粉砕だ。結果は以下の通り。

加熱時

豆を煮るためヒーターで加熱する。ヒーターは電力を食うが抵抗負荷なので力率は 1.0 だ。力率というのは仕事率のようなもので、力率が低いと、電流はバンバン流れるくせに仕事はしてくれない。家庭では電気代には反映されないのが救いだが、無駄だ。

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粗目粉砕時

普通によくあるミキサー音がする。理屈は割愛するが、モーターは誘導負荷なので力率が下がる。0.4~0.6 で推移していた。粗目粉砕の時間は短く、その後再度加熱工程に移る。

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本番粉砕時

煮込みが進むとモーターが再び回りだし、豆を非常に細かく粉砕する工程になる。粗目粉砕時とは全然音が違い、ジェット旅客機のエンジン起動音のような音がする。コンバーターで回転数を制御されているようだ。力率は 0.6~0.9 で推移していた。

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おまけ

このワットチェッカーを 100V コンセントに繋いでみたところ、普通に動いた。記事を編集している PC や炬燵を繋いでみたが、各計測値も出る。見たところ値は妥当に思え、どうやら 100V 環境でも問題なく使えるようだが、元々 220V 環境での使用を前提にされている機器なので正常に動作しなくても不思議ではない点に注意だ。

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今後

日本の 200V 家電も測ってみたいところだが、手持ちの部品ではプラグ形状を合わせるのに足りなかったので見送った。我が家の 200V 機器は他にエアコンしかないが、取説の仕様表を見ると暖房時運転電流 5.33A (最大20.0) とのことなので、ワットチェッカーの計測限界 16A を超える可能性がある。ワットチェッカーの取説によると、超えた場合は警告音がなるらしい。気が向いたらやってみよう。

変換コードを作ってみた (2016年7月14日 追記)

こんなコードを作ってみた。

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こんな風につないで…

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200V エアコンを測れちゃう。

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これで、測定器限界の 16A 超で果たして警報音が鳴るか!? …をテストしようと思うのだが、今は真夏。冷房はそれほど強烈に電気を食わないので、冬の到来を待つ。

え? テストだけなら夏でもできるだろって? ヤダ。このクソ暑い時期に、最高温度で温風なんて出したくない!!

2017/1/24 追記:

さて…冬だしやってみるかってことで、32度設定で暖房を食らわしてみた。数字を見ていると、一気にフルパワーになるのではなく数分かけて徐々に出力が上がっていったのだが、最大でも 11A くらいしか流れず、その後は再び徐々に下がっていった。うーん、カタログ上の最大電流 20A が流れるケースってあるのか?

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「200V で使える安いワットチェッカ―を使ってみた」への2件のフィードバック

    1. 無事使えたようでよかったです~。
      Amazon でも売っていましたか。あまり需要のなさそうなものも売りに出すあたりあちらの人は商魂たくましい。
      私の買った二台目は、あっさり壊れた一台目と違ってかなり長い間連続稼働させていましたがちゃんと動いています。あたりはずれが大きいですよね、向こうの製品は。

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