安いよ安いよ!
地デジの電波を分けるために分配器買ったんだ。安い6分配器。なんと730円。送料入れても 910円(当時)。しかも 2650MHz まで対応で、将来 BS/CS の電波が増えても OK。安いね…って、後で調べたらアマゾンで送料込み 770 円(当時)だった orz
見た目同じに見える BL-0056TV という型番のやつなら送料込み 630円(当時)。
ちくしょう……チクショ――――――――――――!!
まさかハリガネじゃねえだろうなあ?
買ってから知ったのだが、安物分配器の中身は電子部品や基板など一切使用されておらず、なんとただの針金で繋いであるだけだったという衝撃的な事件が五年くらい前にあった模様。
…俺の買ったやつ、ハリガネじゃないよね? というわけで、確認してみることにした。
分解しないで確認する
実際に分配器をバラしてハリガネかそうでないか確認してみたブログはちらほらあるので、ここでは分解せずに GigaST v5 という簡易スペクトラムアナライザで調べてみる。ただ針金で繋いであるだけなら、周波数特性がとんでもなく悪く、信号の減衰が激しいはずだ。
特性を調べるにはトラッキングジェネレータという信号発生装置を分配器の入力側に繋ぎ、出力側から出た信号の歪みを計測装置で計測すればよいのだが、計測結果からアナライザ自体の特性を排除するためにまず下の写真のようにアナライザのトラッキングジェネレータ端子(左側: TG OUT) と計測端子(右側: RF IN)を直結する。
これがアナライザ自体の特性。周波数によって違うのでまっすぐにならない。
これを FLAT でまっすぐにする。ここから以降の計測結果にはアナライザ自体の特性を差し引きしたものが出力される。
FLAT の状態で、分配器を TG OUT と RF IN の間に挟んで計測するんだ。
分配器の空き端子にでっぱりがついているが、これは終端抵抗とかダミー抵抗と呼ばれるもの。中身は心線と網線を75Ωの抵抗で繋いだ単純なものだ。安い所で買えば 10個で1000円もしないので、分配器の空きや、部屋の使わないアンテナ端子には取り付けておこうな。ホコリよけにもなるし。
測定の結果は!?
この分配器が明示している対応周波数 5~2650MHz の間で最も減衰が少ないのは 698MHz 近辺の -6.1dB、逆に最も激しいのは 2599MHz 近辺の -9.7dB だ。これは元の信号が 1/4 ~ 1/10 になっているということだ。大分減衰していると思うだろうが、これは6分配器だから単純に信号は 1/6 にされてしまうわけで、まあこんなものではないだろうか。ハリガネ式分配器ではなさそうで一安心。
大は小を兼ねるとはよく言うが、分配器は使わない端子があろうとも分配の数だけ信号は分割され減衰するので、むやみに端子数が多いのはよくない。4分配器、2分配器で済むのであればそれに越したことはない。又、分配した下流で更に分配する必要がある場合は、上流を分配器でなく分岐器で分けることも考えよう。
特性の悪化とは
この分配器は 5~2650MHz 対応だが、対応外の周波数ではどんな特性を示すかやってみた。下の図は 6000MHz まで信号を通した結果だ。3300MHz 辺りから一気に減衰が酷くなり、一番悪い所では -27dB 付近まで落ち込んでいる。これは元の信号の強さの 1/500 程度だ。
ハリガネ分配器だったら 1000MHz あたりでこのような急激な減衰を起こしても何も不思議ではない。
測定ネタは続く
次回の記事では、誰もが一度は考えそうな 「そうだ! 受信した電波が弱くて映らないなら、ブースターを二段に繋げればいいじゃない!」がなぜダメなのか、一体何が起こるのかをネタにしてみようと思う。
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