ミスターブレイン謹製の爆益自動売買システムを読む!!


一ヵ月半で原資が二倍という驚異の自動売買システムを無料で利用できるチャンスだ!! 作者はあの有名な元 Mr.Brain 氏 (現FXアルケミストK氏) ときたら、これは期待するしかないでしょう! …ってことで、その成り行きをウォッチしてみた。

FXアルケミストK とかミスターブレインって誰よ?

今はFXアルケミストKと名乗られている元ミスターブレイン氏 (と言っても、二人で一人らしい) は、FX 取引の穴を見つけて突く、所謂裏技で莫大な利益を稼ぎ出すことに長けておられる、この業界では結構有名な方なのだが、なんと有名になったばかりにミスターブレインを騙る偽物が詐欺をやらかして逮捕されるという事件が発生。それを機にFXアルケミストKに改名した…という経緯は、氏が運営している FTL (FTLabo) という自動売買プログラム配布サービスを利用されたことのある方ならメルマガで知っているよね。

ミスターブレイン謹製の自動売買システム

そんな氏が裏技手法ではない、しかも自ら手掛けた FX Alchemist K-2 という自動売買システムの一般参加を募っていた。2016年1月18日のことだ。一ヵ月半で 95.87% の利益を叩き出した実績を公開した上で、無償で参加を募る、最低資金は10万円と。ほうほう、これは気になるねってことで、Myfxbook というサービスで公開される成績をウォッチしてみた。

自動売買システムを追う

Myfxbook というのは、自動売買プログラムを稼働させるグローバルスタンダードになっている MT4 という FX 取引プラットフォームの取引履歴情報を、Myfxbook が提供する専用プログラムで定期的にアップロードすることで、様々に分析できるよう纏めてくれる無料のサービスだ。MT4 使いには欠かせないツールだね。もちろん、俺も使っているよ。儲かった履歴ないけどね…いや、むしろ、悪徳業者に逆指値無視されて大損&追証&取り立て電話攻撃された口座の履歴とかそんなのばっかりだけどな!

で、この Myfxbook は公開情報、非公開情報をかなり細かく設定できるのだが、FX Alchemist K-2 では保有ポジションやロット数等の肝心なところが殆ど非公開にされているのだね。見られる情報の範囲で探っていくしかないね。

FX Alchemist K-2 の取引通貨ペアは、GBP/USD, EUR/USD, USD/JPY, USD/CHF の四種だ。取引の成果は殆どを EUR/USD が占め、途中 GBP/USD と USD/JPY も働いている。他は殆ど関与していない。

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マジックナンバー毎の取引を見てみたが、わからん。五種類のロジックが複合で動いているようだが。

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ウォッチしたところ…

FX Alchemist K-2 の成績は以下の通り。まあ…一ヵ月半で 95.87% の利益どころか、募集から一ヵ月半で 90% 以上の損失になってしまったわけだね。参加者の資金は文字通り風前の灯火。

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最後の大ドローダウンは3月4日、アメリカの雇用統計の日だね。下のチャートは統計発表の 22:30 前後の五分足だが…イベント時によくある人為的な値動きだね。買い方も売り方も両方とも殺して稼ごうとするヘッジファンドの仕掛けをモロにくらったようだ。

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リスク2倍の K-2 システムがあるけど…

FX Alchemist K-2risk×2 と FX Alchemist K-2risk×2v2 なるものが確認できる。リスクを二倍にして稼ぎも二倍にというやつだね。オリジナルの K-2 でも破綻寸前だというのにこれはヤバイね…

あ。

K-2risk×2 は、2月26日で破綻している。

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上のグラフではそう見えないが、まず最終更新を示す Updated が2月26日で終わっている。加えて、下の図は K-2 と K-2riskx2 を同じ期間で切り出した日毎の損益額だ。どちらも最終日以外大差ない額で推移している。これは、口座残高の違いから来ているのだろう。K-2 の初期口座残高が20万円、K-2risk×2 は 10万円なので、リスクを2倍とるとオリジナルの K-2 とほぼ同じ損益額になるということだな。残高の増減によって取引ロットも若干変わっている感じ。

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なのに、最終日だけ全然損失額が合わない。グラフが破綻を示す前に Myfxbook の更新を止めたんだろうか。ハイ、一ヶ月ちょいで10万円サヨウナラ~。

K-2risk×2が飛んだので、K-2risk×2v2 として仕切りなおした模様

じゃあ K-2risk×2v2 はどうかというと…これも、死亡確認。なんと僅か五日間。2月29日~3月4日でまたもや10万円がサヨウナラで~す。

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これもグラフでは破綻したように見えないが、やはり K-2 とほぼ同じ損益額で推移してきたものが最終日の3月4日だけ K-2 が 78,984円、K-2risk×2v2 が 20,154円と全然違う。あーこれも、グラフが破綻を示す前に Myfxbook の更新を止めたのかな。もしそうだとすると、ちょっと姑息だなあ。口座が飛んだ後もちゃんと更新すれば、俺が悪徳FX業者に殺られた実体験記事の FX有事の約定力比較~安心な優良業者/使えない悪徳業者はここだ!! や、FXDD ― FX業界屈指の詐欺業者 ~ ゼロカット反故/約定改竄/証拠金泥棒 のアイキャッチ画像のグラフのようになるんだから。それとも、FX 業者によっては口座が飛んだ時点でプログラムを動かせなくなったりするのかも知れないね。

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うまい話はないとはよく言うけれどね

K-2 の募集告知が1月18日(月)だから、口座を開いたりなんだかんだでスタートはどんなに早くても19日(火)でしょ。で、27日(水) にはドローダウンで原資割れ。その二日後更にダウン、その後も直近のダウンを一度すら回復することなく、特大ドローダウン連発で開始一ヵ月半にして破綻一歩手前。

夢の期間、最長でも僅か6営業日…

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その K-2 のリスクを二倍にした K-2risk×2 と K-2risk×2v2 に至ってはもう…

なんかさ、最後には損するとしてもね。せめて夢だけでも見せてあげてほしいねえ。

Mr. Brain 氏って、俺の中のイメージでは、 FTL でよく出てきた独自の自動売買選定基準のミスターブレインレシオとか、裁量トレードとシステムトレードを融合するハイブリッド・トレード マスタースクールだとか、理論を重視する感じがあったんだけどなあ…申し訳ないが、このシステムではなんかお粗末さしか見えん。

雇用統計一発如きで大ドローを出しうるようなシステムなら、大きなイベントの前の日くらいからは取引を止めるとか、やり方があるだろうにね。所詮は人の金だから吹っ飛ぼうが知ったことじゃない。自分に金が転がり込みさえすればいいやって姿勢になったのかな。

ああ、この手のはね。主催者は為替ブローカーと提携していて、参加者が取引すればブローカーから手数料が転がり込むのよ。客が勝とうが負けようがね。だから、手数料を多くとるために参加者は大ロットで取引してくれたほうがいいの。それで、「一ヵ月半で95.87%の利益」とか衝撃的なコピーを打って人を集めるのさ。短期で資金を倍にするってことは、必然的に大ロットの取引を数多く重ねる必要があるわけでね。

近頃は、氏のメルマガでも MLM (ねずみ講が幾分マイルドになったもの) への参加を募ってみたり、なんだか行動がおかしいね。正直、残念だよ。

K-3 という自動売買もあるけど…

K-2 とは別に K-3 というのがある。明らかに K-2 シリーズとはロジックが違う。この損益グラフの形を見てピンとくる人も多いだろう。

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そう、マーチンゲール手法だ。ギャンブルで有名な理論で、負けたら次の掛け金を二倍に、また負けたら更に二倍の四倍に、またまた負けたら…とやっていけば絶対に勝てる…ただし、資金が無限大という条件で。実際は有限なので倍掛けできなくなった時点で大損害が確定する。

この理論を FX の自動売買に流用する人は多い。耐えられる値幅、追加ポジションの大きさとポジションを追加する間隔は設計により違うが、基本がマーチンなので最初に建てたポジションからたいした押し目や戻りがないまま一方的に逆行を続けると破綻する。資金は無限ではないので、追加ポジションをとる間隔を広げていくか、どこかで諦めて損切るか、塩漬けにして破綻する前に戻ってくれることを祈るか。それは設計者次第だが。

念のため断っておくが、俺はマーチンゲール法自体は否定していない。長く続ければ死ぬが、マーチンゲール自体はとりあえず勝ちやすい手法だと思う。勝っているうちにさっさと勝ち逃げすればいい。勝ち逃げできるかそれとも死ぬかは神様に祈るしかないので、ハイリスクな手法であることに間違いはないが。

さて、この K-3。取引通貨ペアは EUR/USD と GBP/USD のみで、取引の王道と言えよう。EUR/USD は常時働いているが、GBP/USD はここぞというときにだけ働くようだ。上の図で資産曲線が急角度で上がっている期間と GBP/USD が働いている期間が一致する。

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マジックナンバーは二つ。二種類のロジックで回しているようだ。

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エントリータイミングなどのロジックの詳細はわからないが、基本はマーチンゲールなわけなので、建てたポジションと逆に値が動いてしまったら追加ポジションをとっていくはず。下のグラフの最後、二日連続でドローダウンしているのがわかるだろう。3月3日が約21万、3月4日が約24万。たった二日で合わせて45万円の損失だ。二日連続でドローダウンするあたり、逆行に耐えられる値幅はかなり狭いようだ。

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ドローした要因を EUR/USD のチャートから推測すると、3日は押し目を作らずにジリジリひたすら上げ続けたからかな。4日は K-2 と同じく雇用統計の皆殺し値動きだろうな。最大マーチン段数と、耐える値幅が決まっていて、そこを超えると諦めて損切りするようになっているのだろう。

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しかし…マーチンゲール法をやる割には、限界値幅の想定が小さすぎやしないか。押し目や戻り無しで一方向に動く日はちょくちょくあるし、雇用統計発表などのイベント時には確かに値が上下に飛ぶが、3月4日のは絶対値幅としては大したことなかったぞ。こんなんでよく二ヵ月半もドローダウンを出さずに生き残ってこれたな。余程の強運だ。

いや、何かがおかしい…ん?

2月16日に注目してみる。口座残高 1,706,649 円に対して、含み損を引いた有効残高が 1,383,936 円。つまり、322,713 円の含み損があることになる。これは3月3日の確定損より 117,033 円も多く、4日の確定損より 83,729 円多い含み損だ。にもかかわらず損切りはされておらず、翌日には 200,578円の利益に変わっている。

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スリップにしては差が大きいな。以前は損切りをしないでひたすら耐えるロジックだったのか? …とも思ったが、2月16日と3月4日では EUR/JPY のレートに 200pips 程度、約2円もの差があるので、EUR/USD の逆行 pip 数で損切りを実行するロジックであれば、日本円金額ベースでは耐える値幅と損切額が変わってくるだろう。大きくポジションを持てば差も大きい。実際のところどうなのか計算してみようと思ったが…マンドクセ。パス。ロジックが二つあるせいかもしれんし、GBP/USD のほうの取引かもしれんし。

引き続き K-3 の推移をウォッチしていこう

さあ、ここから持ち直して大金を得るのか、それとも K-2 のようにこのままドローダウンを重ねて破綻への道を歩んでしまうのか…神のみぞ知る。

2016/5/1 追記: K-3 と K-2 のその後

初のドローダウンで二連発を叩き出した K-3 は、その後は順調に回復していった。そして、4月12日。ドロー発生から一ヶ月と10日後に遂に43万円のドローダウンを取り返した。おめでとう!!

その後も更に利益を重ね…つつあったのだが、4月27日から三営業日連続のドローダウン発生で82万の損失を叩き出してしまう。利益は吹き飛んで、再び原資回復への旅に出たようだ。

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初ドローダウン直前の3月20日に始めたとして、4月26日に逃げられていれば原資+48万の利益で終了、かたや逃げていなければ4月29日時点で原資-36万円の損失。ひゅー。三日でこの差は、おっかないねえ。

この三営業日ドカン連発の原因だが、 EUR/USD に上げトレンドが出たからだな。どんどん上がっていくものに逆張りしまくって返り討ちにあったのだろう。

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一方、K-2 はというと…

うん。最初の右肩上がりは見事なカーブフッティング、その後相場が合わなくなって損失を出し始めるとロジックを修正、その結果、損もしないが儲かりもしない鳴かず飛ばず状態になるという、失敗作の王道パターンですな。

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2016/6/16 追記: K-3 のロジックにかなり手が入っていた

K-3 が記録的連続特大ドローダウンを叩き出してからその後、原資回復どころか、綺麗な右肩下がりで散々な有様だ。しかも、ここ一カ月以上、含み損を解消する気がないね。

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分析しようと思ったが、マジックナンバー毎の取引が見れなくなっていた。仕方がないので、まだ見られる通貨ペア毎の取引情報で分析してみる。

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なんと、以前分析した時には EUR/USD と GBP/USD の王道二ペアのみで回るロジックだったのが、やたらとマイナーペアの取引が発生していた。とはいえ、取引の中核は依然 EUR/USD だな。逆に、GBP/USD は殆ど取引がなくなっている。

そして、4月27日からの特大ドロー連発は、どうやら 4月25日から新しく稼働している USD/JPY で取引するロジックが叩き出したものらしい。

今でも K-3 を運用している客がいるのかは知らないが、こんなに適当なロジックの追加と運用をされちゃあ、たまったもんじゃないな。

さて、もう一つの K-2 の経過も一応見ておこうか。

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…うん……まあ…………とりあえず、お疲れ。

結論

さて、かれこれ半年近くウォッチして来たわけだが、K-3 の分析では、碌にフォワード検証もされていなそうなハイリスクなロジックを行き当たりばったりで追加して大損ぶっこいたという稚拙な運用が見えた。

ここから利益どころか、原資回復だけでも到底叶うとは思えないとの感触を強く得た。

もう結論として言い切ってしまってもいいだろう。

K-2 も K-3 も、さも爆益を叩き出せるように見せかけるために、ごくごく短期間の相場の動きに合わせてカーブフッティングしただけの、よくあるダメダメ自動売買システムであったと!!

Myfxbook の客観性を撒き餌として利用してカモを釣り集め、ノーリスクで手数料を美味しく頂く手法でしかなかったと!!

…残念だよ、ミスターブレイン。


「ミスターブレイン謹製の爆益自動売買システムを読む!!」への4件のフィードバック

  1. こんにちは 私はk3 100万円から初めあっけなく含み損が耐えられず残高0になりました。自己責任なのでしょうがないですが、fxアルケミストkでも勝てないかと思った。最近は確かにアフィリエイトやネットワークビジネスに力入れているみたいですね

    1. わら様

      やられてしまいましたか…御愁傷様です。
      世界的にぼちぼち平和な時代が終わってしまい、混沌の時代の幕開けを感じる中、
      FX でテクニカル手法自体が通用しなくなってきていると思うのですよね。

      我々も、なんとか仕掛ける側に回りたいものですねw

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