利用者が語る FX 用 VPS 比較 ~ 場所による FX 業者6社との通信速度の違い


FX 業者のサーバへのアクセスは速いほうがいいのはわかる。でも、そもそもサーバはどこにあるの? どの場所からどの業者へ通信するとベストなの? ってことで、何年も VPS を借りている記者が、実際に応答速度を測ってみたぞ。

2016/11/01 追記:

この記事中に登場する FX 業者の内、FXGlobe は日本市場から撤退することになりました。

VPS とはなんじゃい
FX 用 VPS ってたくさんあるけど
各 VPS の使用感
FX 業者のサーバーはどこにあるの
取引サーバとアクセスポイントサーバ
MT4 ― アクセスポイントサーバ間の通信速度
MT4 ― 取引サーバ間の通信速度
果たして、最適解は…
おわりに
VPS とはなんじゃい

Virtual Private Server の略だ。まあ、早い話がレンタルサーバの一形態だな。FX 取引で借りる目的は、

「自動売買をしたいけど、家で PC 動かしっぱなしだと電気食うし、暑いし、安定性は疑問だし、通信速度も不安定だし。なあ、FX 業者のサーバに近い環境のいいパソコン貸してくれよ!」

ってことだな。まあ、この記事を読んでいるお前はきっとわかっているだろう。

FX 用 VPS ってたくさんあるけど

記者が使っている/いたのは以下の四社の VPS だ。

  • 日本代表、「使えるねっと – FX シルバープラン」
  • 日本代表、「お名前.com デスクトップクラウド for FX」
  • アメリカ代表、「SWVPS – plan WS1」
  • 欧州代表、「Warrior VPS – Basic VPS」

残念ながら、使えるねっとと SWVPS は、スイスフランショックで悪徳 FX 業者に殺されたり、証拠金全額パクられたりして口座が破綻してしまい、VPS を借りている目的がなくなって解約してしまった。今回応答速度は測れないが、長く使っていたので使用感だけは述べておこう。

又、記者の契約当時のプランと現在販売しているプランは、名前が同じでも OS やスペック等の内容や価格が異なっているものもある。現在新規加入できるプランでは使用感やトラブル頻度が、記者のものより改善されたりしているかもしれないので、参考までに。

各 VPS の使用感

何年も使っている中で、何回か VPS がフリーズしたり、勝手に再起動を繰り返したりで強制電源 OFF 操作も効かないなどの、ユーザーサイドではお手上げになるトラブルはあったにせよ、いずれもサポートに連絡したらすぐ解決したし、対応は良かったかな。

  • 使えるねっと (所在地: 日本)

2012年1月から2016年1月まで Windows Server 2008 R2 で使用。

特にトラブルはなかった。記者はシルバープランを二年契約で使っていて、 ¥45,120/二年 = ¥1,880/月だった。現在は、同じ二年ならちょっと安くなってて ¥1,791/月になる模様。

記者が契約した時はなかったのだが、途中から所在地がアメリカの VPS も提供を始めた。価格は国内設置と同じ。forex.com 等、サーバがアメリカにある FX 業者を使うならそっちのほうがいいと思う。

ここは IP ポートが塞がれていないので、FTP サーバを建てての大量データコピー法で引っ越しできる。実用性はともかくとして Web サーバなんかも建てれば外部からちゃんとアクセスできる。

記者は2015年1月に、この VPS 上で運用していたタコ FX 業者に殺られて口座破綻+追証で一発退場。VPS は契約期間がまだ一年残っていた。

そ んなわけで実はこのブログサイトは、2015年1月の誕生から一年間、この VPS 上で運用していた。Windows Server + IIS の組み合わせで WordPress ブログシステムを運用する世界的に珍しいブロガーだったな。契約期間満了後は、ブログ用レンタルサーバのよくある Linux + Apache 環境に移行している。

昔は「FX 専用」と謳われていなかった気がするが、今は FX 以外の用途に使うと怒られるかもね。まあ、金を惜しんでブログ用サーバより割高な FX 用 VPS でわざわざブログを立ち上げる変人は記者くらいのものだろうが。

FX用VPS 特別割引キャンペーン! FX専用 米国設置VPSキャンペーン!
  • お名前.com デスクトップクラウド for FX (所在地: 日本)

2013年1月から2016年6月まで Windows Server 2008 R2 で使用。

昔はサービス名が違った気がする。下の広告バナーを見ていると「Windows VPS はもう古い!」という謳い文句が出てくるので、違うサービスになったのかもしれない。しかし、説明を読んだ限りでは、FX に不必要なプロセスを予め止めて、とっつきやすく MT4 がプリインストールされているだけで、やはり Windows VPS に思えるのだが…。

記者が契約した時はなかったのだが、途中から所在地がアメリカの VPS も提供を始めた。forex.com 等、サーバがアメリカにある業者を使うならそっちを選ぶほうがいいだろう…なのだが、価格表を見ると、どういうわけか二年契約の場合のみ、アメリカ VPS は割引が効かない模様。二年契約するなら使えるネットのほうがいいね。

トラブルは年に一回くらいあったな。

ここは、外部から VPS への主要 IP ポートのアクセスが塞がれているので、引っ越しなどで立ち上げ時に一時的に FTP サーバを建てる方法では、大量のデータを持ってこられない。FTP クライアント側になって他所の FTP サーバから引き出すか、zip に纏めてウェブのクラウドストレージ等を経由する形になるだろう。

  • SWVPS (所在地: アメリカ)

2012年5月から2015年2月まで Windows Server 2003 で使用。

年に一~二回トラブったかな。まあ、当時は契約できる OS も古かったしな。今は改善されていることを期待する。

FXDD での取引用に契約した。FXDD の主な取引サーバはアメリカにあるからだ。

記者は月額 $17 だったが、いつの間にか安くなっていて、月額 $10 からある。記者が払っていた額とほぼ同じ $16 のプランなら、今はなんとメモリ 2GB だ。ちとまた試してみたい衝動に駆られる。

アメリカにある VPS ってなら、今は使えるネットやお名前.com でも提供しているが、日本語サポートに拘りがないなら、長期縛り契約不要でこの安さは魅力的だ。

ここは IP ポートが塞がれていないので、FTP サーバを建てての大量データコピー法で引っ越しできる。

昔は選べる OS が 2003 と古かったからか、それとも素性が良かったのか、動作は他社の 2008 R2 の VPS より軽くサクサクしていて、MT4 を他社 VPS より三枚くらい多く開いても実用になったが、今は流石に 2008 R2  しか申し込めないし、わからん。

ここは日本の VPS 業者ではないので、トラブった時のやりとりは英語で行うことになるが、まあ、中学生英語でなんとかなる。

  • Warrior VPS (所在地: ドイツ)

2013年3月から現在まで、Windows Server 2008 R2 で使用。一度もトラブルは起きていない。

月額 $20 の所を、10% 割引プロモーションコード “FANTASTICO” のぶち込みで $2 の割引、月額 $18 だった。今でもこのクーポンコードが使えるかは不明。

XM.com での取引用に契約した。XM の主なサーバがイギリスにあるからだ。この VPS は XM や FXGlobe 等、欧州系の FX 業者への通信速度が極めて速い

今でこそ、日本の VPS 業者でもアメリカ設置の VPS を選択できるようになったが、ヨーロッパを選択できる業者はない。XM や FXGlobe との一段上の通信速度を求めるには最適だ。

安定度も高いので、記者イチオシの VPS なのだが、価格表を見たらいつの間にか 月額 $39 と結構お高くなっていた。お高くなった分、CPU は 6コアに、メモリ容量は4倍の 4GB に、ネットは1Gbits/sec に増強されているが…。お手軽価格が消滅したのはちと痛い。

まあ、MT4 もバージョンアップする度に確実に重くなっているし、昔の VPS の標準だったメモリ 1GB 仕様じゃちょっと辛いというのは確かに記者も感じているところではある。

ここも日本の VPS 業者ではないので、トラブった時は英語で対応することになる。

又、契約すると一か月毎の自動引き落としになるが、サポセンに毎月自分で払いたい旨を伝えると、請求書払い方式に変更してくれる。

Warrior VPS

FX 業者のサーバーはどこにあるの

さて、一通り記者の VPS 業者の紹介もしたことだし、本題に入ろう。

記者が口座を持っている FX 業者のサーバを調べてみた。業者によっては契約した時期によって指定されるサーバが異なるため、記者の調査と同じにはならないかもしれないが、大きくは違わないだろう。

まずは下の世界地図を拡大して見てくれ。図の幅が広くて見にくいが、FX 業者 6社のサーバと、記者が契約している VPS の位置を地図上にプロットしてある。

大きく、イギリス方面、シンガポール、日本、アメリカに分かれている。基本的には VPS が業者のサーバに近ければ近いほど応答速度は速くなり、自動売買システムが意図した取引タイミングに近づくわけだ。

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取引サーバとアクセスポイントサーバ

正式な呼び名は知らんので勝手に命名した。MT4 クライアントは、直接取引サーバ(口座開設時に FX 業者から指定される。顧客の担当となるサーバ) と接続されているわけではなく、まず、最寄りのアクセスポイントサーバに接続し、そこを経由して取引サーバにアクセスする仕組みになっている。

それぞれのサーバの役割分担は不明だが、プライスの提供などはアクセスポイントサーバと MT4 クライアント間で行われ、売買取引など重要な操作は取引サーバが関与するなどのように分かれているのだろうと推測する。

上の世界地図でプロットしているのは、アクセスポイントサーバだ。親分の取引サーバが実際にどこにあるのかはわからないが、主要なアクセスポイントサーバの近くにあるのだろう。

ともかく、二種類のサーバに分かれているということだ。

MT4 ― アクセスポイントサーバ間の通信速度

「通信速度」とは言っているが、この記事での「通信速度」とは、厳密には「往復の応答速度」だ。『もしもし』した声が先方に届き、先方が『はいはい』して、その声が届くまでの時間だな。

MT4 が起動されると、適当なアクセスポイントサーバ(以下、AP と略す)に接続される。FX 業者によっては AP がいくつかあり、基本的には速度の速い AP が自動的に選ばれ、通信が断絶したりすると別の AP に切り替わるようになっている。

VPS07

下の図は各 FX 業者の AP 一覧と、Warrior VPS 並びにお名前.com デスクトップクラウド for FX (クソ長いので以下、「お名前.com」と略す) からの通信速度だ。アクセスポイントへの速度は「Ping」という列になる。数字でなく “—” となっているものは、こちらの呼びかけを無視するタイプで、計測不能。最近はセキュリティの観点から、FX サーバに限らず無視する奴は結構多い。

応答したもののうち、特に速いものを緑でマークしてみたが、ドイツの Warrior VPS からFXGlobe のブルガリアアクセスポイントまで、たったの 8ms (0.008秒) とは驚きだ。

VPS03

又、日本からアメリカにアクセスするより、ドイツからアメリカにアクセスするほうが二倍速いことがわかる。

アメリカの AP は大抵ニューヨーク近辺にあるので、ドイツ→大西洋→アメリカ東海岸で済むのに対し、日本→太平洋→アメリカ西海岸→アメリカ東海岸となる差が大きいのだろう。forex.com など、AP がニューヨークにある FX 業者には、アメリカ設置の VPS を契約したほうがいいね。

ちなみに、AP の IP アドレスをどうやって求めたかというと、まず、MT4 を起動した状態でコマンドプロンプトを起動する。コマンド netstat -no で通信先の一覧をプロセス ID 付で出力し、タスクマネージャで表示できる “terminal.exe” のプロセス ID と照合して一致するものがそれだ。

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MT4 ― 取引サーバ間の通信速度

MT4 と AP 間の速度はわかった。では取引サーバとの速度はどうか。この速度は売買取引の執行速度に効いてくるはずなので、より重要だ。

所在地も IP アドレスもわからないが、実は MT4 のログにそれと思われる応答速度が記録されている。

VPS05

さて、一覧にしたものが以下の図だ。「MT4」という列が取引サーバの応答速度だ。 ここで気づく。AP との通信速度から大分かけ離れて遅いものがある。AP までは 13ms と非常に高速なのに、取引サーバとでは 241.14ms と、なんと 18.5 倍もの開きがある。AP は近いが、そこから取引サーバへはちょっと遠いようだ。

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果たして、最適解は…

以下の図のように色分けすると、どの FX 業者にどの地域の VPS が最適か一目瞭然だ。XM.com と FXGlobe にはヨーロッパ設置の VPS がベスト。FXTF には日本設置の VPS がベストという結果だな。

AAAFx、FOREX.com、FXDD の三社はヨーロッパからの方が速いが、この三社はサーバがアメリカなので、アメリカ設置の VPS を使う方がいいだろう。データで示せないのが残念だ。SWVPS を解約しないでとっておけば、調査できたのだが…。

VPS10

おわりに

これまで、表の必要な所だけを切り出して説明してきたが、記事では使われていないものの、実は他にも調べたことがあるんだ。興味があれば下の図を拡大してみてくれ。

Amazon と Microsoft がこんなところで戦っている。Amazon が一歩リードしているようだw

VPS11

VPS 速度比較、いかがだっただろうか。

MT4 が取引サーバに近ければ近いほど良いことは間違いない。しかし、それは「自動売買プログラム」にとって良いというだけのことだ。

速度の違いが利益を生むのかは別問題だし、いくら応答速度が速くても約定力がヘッポコならとんでもない損失を被る。VPS 選びより何よりもまず、FX 業者選びを慎重によく吟味してくれ。

では、おまえに爆益あれ!!…つーか、記者みたいに悪徳業者に殺られるんじゃないぞ!!


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